TRAINING SPECIALTY 研修プログラム

初期研修プログラム (1~2年目)

魅力ある腎臓内科初期研修

久留米大学病院は初期研修期間2年間の中で、研修協力病院・施設と臨床研修病院群を形成し、研修体制を整えています。研修の特色は2年の間に大学病院と一般病院との両方での研修が可能であることです。基本研修科、必修研修科は決められていますが、そのなかで可能な限り希望を取り入れています。腎臓内科は出身大学も多岐にわたり、症例数も豊富です。そして基本的臨床能力獲得後はさらなる総合内科専門医、腎臓専門医、透析専門医への道を歩む場合を想定して、新内科専門医制度を見据えた指導を行います。初期研修として腎臓内科を希望して頂くと充実した研修を受けることが可能です。

あらゆる疾患に対応できるgeneralistとしての医師の育成

腎疾患診療では“全身を診る”ことが要求されます。腎疾患を窓口として、問診、診察、検査結果を複数の優秀な指導医の下熟考・解釈し、かつ正確な診断ができる医師に育成します。腎臓内科は循環器、消化器、感染症、膠原病、血液疾患など、腎臓病に関与する多くの疾患に対応しているため、新内科専門医制度で求められる症例数の確保にも最適です。

将来の目的やビジョンを考えた研修

当科には臨床力を備えた百戦錬磨の医師または医学博士を取得した優秀な医師が常在しており、人生経験も豊富です。優しく優秀な指導医とともに、研修医先生の将来のビジョンを明確化し、目的に向かって躍進するために必要なサポートを親身になって行います。特に女性医師の場合、今後について不安な気持ちをお持ちの先生も多いと思います。当科では結婚や出産を経験した女性医師が数多く活躍しており、ロールモデルとして参考になると思います。人生は多様であり、一人ひとりの気持ちや将来像に合った道についても気軽に相談できます。

新内科専門医制度を見据えた知識・手技・技術の修得

初期研修では内科の基本的事項を重点的にマスターしますが、さらに興味を持った先生方には新内科専門医・腎臓専門医・透析専門医取得を見据え、さらなる貴重な症例数の蓄積、水・電解質異常や腎炎などの診断、経皮的血管拡張術、バスキュラーアクセス造設術・穿刺、腎生検・腎病理診断、血液・腹膜透析に必要な透析カテーテル挿入術等、多岐にわたり深く学び、専門的知識の習得を目指します。教室員一同が一丸となってしっかりとサポートしていきます。

専門医研修プログラム

研修プログラム 研修プログラム

新内科専門医制度に対する方策

研修3年目で腎臓内科専門医を目指す先生にとっては新内科専門医、サブスペシャリティー専門医取得に関して不安があると思います。
当大学内科学講座では数多くのプログラムを用意していますので、その点は心配いりません。

久留米大学病院内科専門医早期取得を目指したプログラム→https://kurume-kensyu.jp/specialist/pdf/book1.pdf

後期研修医として3年目(医師5年目)までに主担当医としてカリキュラムに定める全 70 疾患群、計 200 症例の経験を目標とします。但し,修了要件はカリキュラムに定める 56 疾患群、そして 160 症例以上(外来症例は 1割まで含むことができる)です。これらの経験症例内容を専攻医登録評価システムへ登録し、査読を受けます。不足の症例がある場合には内科で連携して主治医として症例を確保します。腎臓内科は多種多様な疾患を有しており、症例確保に関しては問題ないと考えます。医師6年目で全員が内科専門医試験を受けることになります。同時に腎臓・透析専門医の取得も行います。全ての教室員が究極のgeneralistである腎臓内科・透析専門医を目指しています。

患者中心のチーム医療を実践

後期研修医として究極のgeneralistである腎臓内科専門医を目指しますが、病棟の主治医として腎疾患診療を通じて患者の命を守るためのチーム医療(指導医、病棟医長、外来主治医)に従事します。さらに、頼れる指導医の下、急患入院の初期対応や超音波画像診断、腎生検などの精密検査、薬剤投与などを単独で行える技量を身に付けます。慢性疾患患者の地域医療連携、本人と家族への精神的サポート等のマネージメントを通じて、家庭医を目指す人にとっても必要不可欠な事柄が網羅されます。

腎臓内科専門医・透析専門医を目指すための研鑽

1)“解釈する力”を大切に腎臓内科医としての診断力向上を目指す
腎臓内科の最大の武器はデータの解析力・診断力です。比較的軽視されがちな水・電解質異常、血液ガス分析データに関して血液・尿・身体所見含めて様々な角度から解析することにより原因を追究する能力を養います。さらに最新のバイオマーカーを測定し解釈することで、診断能力を向上させます。我々は“解釈する力”を最大限に養うことを意識して指導に当たっています。
腎臓内科のデータ解析と診断の写真
2)バスキュラーアクセス(シャント)造設術
まずは介助者として手術に立ち会い、指導の下皮膚切開、血管露出、器械取り、縫合と習得して頂きます。症例数を重ねるごとに手技の精度が増していきます。
バスキュラーアクセス(シャント)造設術の写真
3)PTA(経皮的血管拡張術)
血液透析患者のバスキュラーアクセス(内シャント血管)狭窄や閉塞に対するカテーテル治療です。経験豊富な医師のもと、実際に手技を行って頂きます。
PTA(経皮的血管拡張術)の写真
4)腎生検・腎病理診断
患者の様々なデータや臨床所見等から腎生検の適応を慎重に判断し、実際に腎生検の介助をして頂きます。その後、PAS染色、PAM染色、蛍光抗体染色、電子顕微鏡所見などを判定し診断するために、教室一体となって全力でサポートします。腎病理カンファランスは、Webにより生中継で配信され、関連施設の先生方と共に治療方針を決定します。月に1度、腎病理に精通した先生を招聘し、discussionを通してさらに腎病理の診断力を向上させる取り組みを行っています。
腎生検・腎病理診断の写真
5)血液透析療法
腎臓センターにおいて血液透析患者の透析管理を行います。バスキュラーアクセスに対する穿刺を行うことで、手技の精度を向上させます。さらに救命救急センターに搬入された急性腎障害患者や外科手術後の緊急透析・膠原病疾患や血液疾患で血漿交換が必要な症例等の急性期の対応について経験します。また、外来血液透析患者を管理することにより安定した血液透析患者のマネージメントを経験豊富な先生から直接学ぶことが出来ます。救命救急センターに当科の医師が常在しており、救急を学ぶことも可能です。
血液透析療法の写真
6)腹膜透析療法
腹膜透析カテーテル挿入術、新規腹膜透析導入者の管理、地域医療連携などを学びます。国が在宅医療を推進していることもあり、腹膜透析症例数は徐々に増え、今後は患者のQOLを見据えた透析治療として普及する可能性があります。腹膜透析の考え方、特に腹膜機能・残存腎機能が評価できる医師に育成します。
腹膜透析療法の写真
7)腎移植へ向けた準備
現在、泌尿器科学講座と共同で、腎移植に向けた体制作りを行っています。今後は積極的に腎移植に関わってもらいます。
腎移植へ向けた準備の写真
8)学術的研鑽
毎週水曜日朝は英文抄読会があり、最新の医療情報or医学情報を学びます。興味深い症例は詳細にdiscussionを行い、積極的に国内・海外学会に発表することで、グローバルな観点から自身を見つめます。臨床研究へ参加して頂くことで、業績を積むことも十分可能です。さらに、興味がある先生は大学院に進み、将来的には海外に留学することも可能です。
学術的研鑽の写真
9)内科全般
糖尿病、膠原病、心血管病、消化管、感染症、呼吸器・・・どの領域をみても腎臓病の原疾患・合併症・増悪因子として腎臓内科診療では避けては通れません。上述したマイルストーンは内科の知識無くしては、修得は困難です。Generalistとして謙虚に、そして正確に診断し治療する能力を身につけることが重要であり、腎臓内科専門医という名の素晴らしい総合内科専門医になってもらうのが最大の目標です。
内科全般の写真

1)~9)は全て、内科の知識無くしては出来ません。“腎臓以外は解りません”ではなく、Generalistとして的確に診察し治療する能力、また専門医に紹介する判断を身につけることが重要であり、腎臓専門医という名の内科専門医になることが最大の目標です。

最後に…

腎臓内科は診断から治療まで、自らの科で完結できる数少ない内科です。腎臓を通じて血液疾患、悪性腫瘍、膠原病の診断に至ることが多々あります。当大学腎臓内科は腎臓内科医が修得すべきほぼ全ての手技・診断・治療が可能です。内科に興味のある方は、ぜひ一度教室見学で当科の素晴らしい雰囲気を感じて頂きたいと思います。見学は随時受け付けますのでまず医局まで連絡を頂けましたら幸いです。子育て中の女性医師も数多く活躍していますので、遠慮なくご相談下さい。教室員一同お待ちしています。

基本領域とSubspeciality領域との連動研修(平行研修)について

基本領域とSubspeciality領域との連動研修(平行研修)について

「連動研修(平行研修)」:内科専門研修にあたっては、その研修期間中にサブスペシャルティ領域を研修する状況があるが、この研修を基本領域のみの専門研修とするのではなく、サブスペシャルティ領域の専門研修としても取り扱うことを認める。但し、サブスペシャルティ専門研修領域としての指導と評価は、サブスペシャル指導医が行う必要がある。

内科専門研修とサブスペ専門研修の連動研修(平行研修)の概念図

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