CLASS 教室の紹介
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HISTORY(歴史)
久留米大学医学部は平成30年で創立90周年を迎えました。本校は昭和3年、九州医学専門学校として誕生、その後昭和27年に久留米大学医学部が開設され、これまで歴史を築いてきました。久留米大学内科学講座腎臓内科部門は、大学講座の臓器及び診療別体制化の一貫として2000年5月に前身である久留米大学第三内科(現心臓・血管内科)より独立し発足しました。
前身の久留米大学第三内科腎高血圧班は当時、故野村岳而先生が統括されていましたが、1996年に奥田誠也先生(現在名誉教授)が教授に就任なさり、その4年後の2000年に腎臓内科部門として単独講座を開講致しました。発足当時医局員はわずか10人足らずでしたが、奥田誠也先生のお人柄と教育に対する熱意により医局員も年々増加しました。2015年3月に、これまで当講座の発展にご尽力頂いた奥田誠也先生が退任され、同年5月からは深水圭先生が主任教授に就任されました。 2017年4月には同門会が発足し、第三内科腎高血圧班と腎臓内科部門の先生方がともに集う場が整いました。
FOR PATIENTS(患者さまのために)
久留米大学腎臓内科の特徴は何といっても明るさ・若さ・豊かな心を兼ね備えたところです。常に患者さまのために何ができるかを考えながら、日々謙虚な姿勢で臨床・教育・研究を行っています。
2000年に発足した久留米大学腎臓内科はGeneralistの育成に重点をおいた、丁寧かつきめ細かな指導体制をとってまいりました。発足から18年間で約100名近い腎臓内科医を輩出し、現在は筑後エリアのみならず九州全域の様々なエリアで地域の医療を支える規模に至るまで成長いたしました。これからも地域医療のために貢献し続ける久留米大学腎臓内科を目指していく所存です。
慢性腎臓病(CKD)に関連した仕事には、CKD啓発活動、腎生検による組織診断、保存期から末期CKD管理、血圧を含めた体液管理、腎代替療法の管理(血液透析・腹膜透析・腎移植)、透析患者の合併症管理(感染症、ブラッドアクセストラブル、腹膜透析カテーテルトラブルなど)、腎性貧血やCKD-MBDの管理があります。また、電解質異常や急性腎障害についての他科からの多くのコンサルトに対して、迅速かつ適切な対応を行っています。
その他にも、遺伝性疾患(常染色体優性多発性嚢胞腎やファブリー病)の治療、難治性疾患(消化管疾患、皮膚疾患、神経疾患、膠原病、血液疾患など)に対するアフェレシス療法なども積極的に行っています。全身を幅広く診る臨床力をつけ、その臨床力を患者さまのために生かす、そんな腎臓内科医が育つ場です。興味ある先生は是非いっしょに働いてみませんか。見学をお待ちしています。甲斐田 裕介
医局長
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腎臓内科病棟
2022年4月から病棟医長として赴任することとなりました。
病棟医長、副病棟医長を中心とし、病棟医はチーム制で臨床業務に取り組んでいます。各チームにそれぞれ指導医を配置し、3年目の専攻医、研修医の指導・教育を行い、助け合える環境作りを行っています。本年度は6人の専攻医が研修してくれており、活気あふれる職場になりました。
久留米大学病院の東9階が腎臓内科病棟であり、随時25人程度の入院患者の診療を行っています。慢性腎臓病、急性腎障害、糸球体腎炎といった様々な疾患の診療を行います。腎生検は年間100例程度あり、毎週火曜日、木曜日に施行し、自科による病理診断と治療を行います。また腎代替療法として、血液透析・腹膜透析を行っており、透析管理を学ぶことが可能です。さらに透析関連手術(自己血管内シャント造設術、人工血管留置術、腹膜透析カテーテル挿入術・抜去術、血管内治療(シャント拡張術、シャント血栓除去術)、透析用長期留置型カテーテル挿入術)も積極的に行っています。
腎臓は全身臓器に深く関わる臓器です。我々は腎臓疾患だけでなく、全身を管理することのできるGeneralistを目指して日々研鑽を積んでいます。
伊藤 佐久耶
病棟医長
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患者さんの命を救う血液浄化
腎臓センターの歴史は古く、すでに1970年台から血液浄化を導入し、現在では血液透析ベット数38床と大学病院としては最大級規模を誇っています。
約60人の外来慢性腎不全患者に対して維持血液透析を行っていますが、それ以外にも入院した患者さんに対する血液透析、手術後の集中治療室での血液透析、他科の様々な疾患に対する血漿交換、血漿吸着、血球除去、幹細胞採取など、大学病院でしか成し得ない高度な血液浄化を駆使し患者さんの命を救うことができることは、我々腎臓内科医にとっての醍醐味です。
血液透析に必要なシャント血管の穿刺や中心静脈確保等、観血的手技が多いため、高度な血管確保の技術修得という観点から、generalistとしての手技的技術が向上します。
さらに、外来にて約40名の腹膜透析患者さんの治療を行っており、腎移植も含めて幅広い腎代替療法選択が可能です。多くの他の専門医先生や患者さんと関わる中で、緊密な連携の重要性を実感できると思います。
加えてほぼ全ての医師が透析専門医を取得していることも安心して医療を受けて頂ける根拠になっています。
今後も緊密な連携をもとに高度で安全な透析診療を心掛けていきたいと思います。柴田 了
腎臓センター主任
腎病理の醍醐味を堪能したい
腎臓内科では、腎生検した病理所見を自ら診断し、患者背景を加味しつつ治療に結びつけます。そして最新最良の医療を患者さんに届けます。腎臓内科学教室では、1週間に平均3症例程度腎生検を行っており、年間約110例以上にのぼります。九州でもかなり多い腎生検症例数です。
腎生検にて腎組織を採取したのち、Periodic Acid-Schiff (PAS)染色、Hematoxylin-Eosin (HE)染色、Masson-Trichrome染色、Periodic acid-methenamine-silver (PAM)+HE染色、蛍光抗体法、電子顕微鏡を駆使して診断に導きます。
腎生検で初めて明らかになることも多く、今後の治療に必須の検査と考えます。腎病理を極めて腎臓病学の醍醐味を一緒に味わいましょう。
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- 糖尿病性腎症の滲出性病変
- 糖尿病性腎症は年別透析導入原因疾患の第1位です。
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- 糖尿病性腎症の結節性病変
- 近年、糖尿病の程度は軽度であっても腎生検により糖尿病性腎症と診断される症例が増加しています。
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- 膜性腎症のPAM染色腎病理像
- 基底膜に特徴的なスパイク形成、バブリング像を認めます。
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- 膜性腎症の蛍光抗体染色像
- 蛍光抗体法ではIgGが基底膜に沿って顆粒状に沈着していることがわかります。
膜性腎症の原因として二次性の要素(癌や薬剤など)を鑑別し、特発性の場合はステロイドを含めた免疫抑制剤の加療を開始します。
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- Fabry病の症例です
- 遺伝子疾患であり、家族に発症し診断される場合もありますが、これは尿検査異常で腎生検を施行し診断された症例です。マッソントリクローム染色で糸球体上皮細胞の泡沫様変化がみられます。
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- Fabry病の電子顕微鏡写真です。
- 上皮細胞にミエリン様構造(ゼブラボディー)を認めます。
医局の様子
皆が集える壁のない自由な医局
~個人スペースで仕事に集中・安らぎの緑多き空間を提供~