CLASS 教室の紹介

  •  久留米大学医学部は、創立100周年を迎えました。本学は九州医学専門学校として誕生し、昭和27年に久留米大学医学部が開設されました。当教室の前身である第三内科腎高血圧班は、故・野村岳而先生の後、奥田誠也先生(現・名誉教授)のご指導のもと発展を遂げ、2000年に腎臓内科部門として単独講座を開講いたしました。 2015年からは深水 圭先生が主任教授に就任され、新たな体制のもとで診療・教育・研究のさらなる充実が図られています。また、2017年には同門会を発足し、第三内科腎高血圧班ならびに腎臓内科にゆかりのある新旧の先生方が集う場が整いました。

     久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門は、2000年の発足以来26年を迎えました。現在では、同門の先生方を含め100名を超える組織へと発展し、筑後地域のみならず九州各地の腎臓病診療を支える医局へと成長してまいりました。当科は発足当初より、「Generalistとしての腎臓内科医の育成」を大きな柱とし、丁寧かつきめ細かな指導体制を築いてきました。 2015年に深水圭先生が主任教授に就任されて以降は、「明るさ・若さ・豊かな心」を大切にしながら、患者さまのために何ができるかを常に考え、謙虚な姿勢で臨床・教育・研究に取り組む文化を育んでいます。
     腎臓内科の魅力は、何よりも「全身を診る」診療科である点にあります。腎炎、慢性腎臓病、急性腎障害、透析医療に加え、膠原病、血液疾患、循環器疾患、感染症、代謝疾患など、腎障害を来す背景疾患は多岐にわたります。腎臓という臓器を入口に、急性期から慢性期まで、疾患横断的に患者さまの全身を診療することこそが、腎臓内科医の醍醐味です。 その一方で腎炎診療では、経皮的腎生検による組織診断をもとに病態を正確に把握し、ステロイドや免疫抑制薬を用いて腎障害の進展を抑制します。長期にわたる治療では、副作用管理や感染症対策も重要であり、腎臓内科医には幅広い全身管理能力が求められます。透析医療においても、当科は保存期CKDから腎代替療法選択、血液透析、腹膜透析まで一貫した診療を行っています。 近年では、透析シャント作成、腹膜透析カテーテル挿入、アクセス感染や瘤形成などのトラブルシューティングにも我々が関与することで良好な成績を収めています。さらに、常染色体優性多発性嚢胞腎やファブリー病などの希少な遺伝性腎疾患に対する専門外来を行っています。また、年間150〜200例のアフェレシス療法を行っており、近年ではCAR-T療法に関連する手技を行うなど、最先端医療の遂行に貢献しています。
     臨床だけでなく、研究も当科の重要な柱です。将来、より多くの患者さまを救うためには、腎臓病の病態を深く理解し、新たな治療戦略を構築することが不可欠です。当科は、初代教授の奥田誠也先生、現主任教授の深水圭先生のご指導のもと、研究にも積極的に取り組んできました。近年では、急性腎障害や糖尿病性腎症における新たな病態機序の解明と、実現可能性の高い治療法の創出を進めています。 その一方で、研究活動は単に論文を発表するためだけのものではありません。臨床医が研究を通じて論理的思考力、問題解決能力、病態を深く理解する力を身につけることで、日々の臨床力も高まります。当科では、研究を通じて臨床力をさらに高める「新たなGeneralist」の育成にも力を入れています。
     これからの医療は、地域に根ざすだけでなく、世界ともつながっていく時代です。日本の腎臓病・透析医療は世界のトップランナーであり、国際的にも高い注目を集めています。AIをはじめとする新たな技術の発展により、言語や距離の壁は今後さらに低くなっていくでしょう。当科では、国内外を問わず腎臓病に苦しむ患者さまに貢献できる、国際的な視野を持った腎臓内科医の育成にも取り組んでいます。
     当科は風通しがよく、若手がのびのびと学び、挑戦できる医局です。臨床、教育、研究、地域医療、国際貢献のいずれにおいても、多角的に成長できる環境があります。これからも、患者さまのため、地域医療のため、そして未来の腎臓病医療のために、同門の先生方と力を合わせながら歩んでまいります。腎臓内科に興味のある先生方、全身を診る力を身につけたい先生方、臨床と研究の両面から患者さまに貢献したい先生方は、ぜひ一度、久留米大学腎臓内科を見に来てください。皆さまと一緒に働ける日を心より楽しみにしております。

     田口 顕正

    医局長

  • 腎臓内科病棟

     2026年4月より病棟医長を務めさせていただくこととなりました。当科では、病棟医長・副病棟医長を中心としたチーム制で診療を行っており、各チームに指導医を配置することで、専攻医・研修医が安心して学びながら成長できる体制を整えています。本年度は6名の専攻医が在籍しており、活気ある雰囲気の中で、互いに支え合いながら日々の診療に取り組んでいます。 若手医師が気軽に相談できる風通しの良さも当科の特徴です。初期研修医の先生は内科専攻医へ気軽に何でも聞くことができますし、内科専攻医は腎臓・透析専門医へと屋根瓦式に、シームレスな教育体制を構築することができています。また、女性が仕事と生活を両立できる職場環境の構築を行っており、事実現在の病棟では半数以上を女性医師が占めています。 私自身を含め様々なライフイベントを抱える医師が多く働いているので、自分のロールモデルを見つけやすいのではないでしょうか。テーラーメイドな働き方を実践し、温かく働きやすい環境づくりを大切にしています。
     久留米大学病院東9階病棟では、慢性腎臓病、急性腎障害、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など、幅広い腎疾患の診療を行っています。年間約100例の腎生検を実施しており、シャント造設術やシャントPTA、長期留置型カテーテル挿入、腹膜透析カテーテル留置術など、さまざまな手技・治療にも腎臓内科自ら積極的に取り組んでいます。 内科でありながら、手技が身に着けられます科であるほか、輸液の知識が身に着くため初療で迷うことが少なくなります。後期研修を修了させた後でも必要な知識や技術を身に着けられる研修ができると思います。全身管理を担う総合力と、専門性の高い知識・技術の両方が求められる非常に魅力的な分野です。東9階病棟では、急性期から慢性期、さらには終末期医療まで、患者様一人ひとりに寄り添った診療を大切にしています。

    中野 薫

    病棟医長

  • 患者さんの命を救う血液浄化

    腎臓センターの歴史は古く、すでに1970年台から血液浄化を導入し、現在では血液透析ベット数38床と大学病院としては最大級規模を誇っています。
    約60人の外来慢性腎不全患者に対して維持血液透析を行っていますが、それ以外にも入院した患者さんに対する血液透析、手術後の集中治療室での血液透析、他科の様々な疾患に対する血漿交換、血漿吸着、血球除去、幹細胞採取など、大学病院でしか成し得ない高度な血液浄化を駆使し患者さんの命を救うことができることは、我々腎臓内科医にとっての醍醐味です。
    血液透析に必要なシャント血管の穿刺や中心静脈確保等、観血的手技が多いため、高度な血管確保の技術修得という観点から、generalistとしての手技的技術が向上します。
    さらに、外来にて約40名の腹膜透析患者さんの治療を行っており、腎移植も含めて幅広い腎代替療法選択が可能です。多くの他の専門医先生や患者さんと関わる中で、緊密な連携の重要性を実感できると思います。
    加えてほぼ全ての医師が透析専門医を取得していることも安心して医療を受けて頂ける根拠になっています。
    今後も緊密な連携をもとに高度で安全な透析診療を心掛けていきたいと思います。

    柴田 了

    腎臓センター主任

腎病理の醍醐味を堪能したい

腎臓内科では、腎生検した病理所見を自ら診断し、患者背景を加味しつつ治療に結びつけます。そして最新最良の医療を患者さんに届けます。腎臓内科学教室では、1週間に平均3症例程度腎生検を行っており、年間約110例以上にのぼります。九州でもかなり多い腎生検症例数です。

腎生検にて腎組織を採取したのち、Periodic Acid-Schiff (PAS)染色、Hematoxylin-Eosin (HE)染色、Masson-Trichrome染色、Periodic acid-methenamine-silver (PAM)+HE染色、蛍光抗体法、電子顕微鏡を駆使して診断に導きます。

腎生検で初めて明らかになることも多く、今後の治療に必須の検査と考えます。腎病理を極めて腎臓病学の醍醐味を一緒に味わいましょう。

  • 糖尿病性腎症の滲出性病変
    糖尿病性腎症の滲出性病変
    糖尿病性腎症は年別透析導入原因疾患の第1位です。
  • 糖尿病性腎症の結節性病変。
    糖尿病性腎症の結節性病変
    近年、糖尿病の程度は軽度であっても腎生検により糖尿病性腎症と診断される症例が増加しています。
  • 膜性腎症のPAM染色腎病理像
    膜性腎症のPAM染色腎病理像
    基底膜に特徴的なスパイク形成、バブリング像を認めます。
  • 膜性腎症の蛍光抗体染色像
    膜性腎症の蛍光抗体染色像
    蛍光抗体法ではIgGが基底膜に沿って顆粒状に沈着していることがわかります。
    膜性腎症の原因として二次性の要素(癌や薬剤など)を鑑別し、特発性の場合はステロイドを含めた免疫抑制剤の加療を開始します。
  • Fabry病の症例です
    Fabry病の症例です
    遺伝子疾患であり、家族に発症し診断される場合もありますが、これは尿検査異常で腎生検を施行し診断された症例です。マッソントリクローム染色で糸球体上皮細胞の泡沫様変化がみられます。
  • Fabry病の電子顕微鏡写真です。
    Fabry病の電子顕微鏡写真です。
    上皮細胞にミエリン様構造(ゼブラボディー)を認めます。

医局の様子

皆が集える壁のない自由な医局
~個人スペースで仕事に集中・安らぎの緑多き空間を提供~

〒830-0011
福岡県久留米市旭町67
久留米大学医学部 内科学講座腎臓内科部門
TEL:0942-35-3311(内線5346)・FAX:0942-31-7763